COLUMNコラム

油彩画の保管について

ホームページリニューアルとともに、コラム欄を設けました。

展覧会に関してや、日頃お問い合わせの多い内容、弊社の思い入れ等について随時更新してまいります。

油彩画の保管に関しては、日頃、最も数多いご相談の一つです。

結論から申し上げれば、ご家庭などの一般的な環境の下では、そう難しく考える必要はありません。

■冷暖房直撃、直射日光を避ける

冷暖房の風が当たるような環境では、温度の急激な変化によってキャンバスや木枠、絵具が大きく動いてしまいます。また、水分に大変弱いキャンバスが、温度以上に急激に変化する湿度の影響で伸縮します。こうして絵の具にヒビが入ってしまう、あるいは元来のヒビが拡大してしまうことがあります。

また、直射日光による退色・変色は申し上げるまでもありませんが、温度の上昇により、最悪の場合は油絵具が流れてしまった事例すらあります。

なお、作家によっては、絵肌や色彩を探求する上で様々な技術を用い処理をしますので、ヒビが入りやすい、入りにくいなどの特性を元々持っていることがあります。

■掛けっぱなし、仕舞いっぱなしは避ける

ご面倒でも、定期的に作品を掛け替えたり、場所を変えると良いといわれています。

温度・湿度の変化がやや大きい場所に掛けてある作品は、たまに休めてあげることが必要です。あるいは、押し入れや倉庫にしまいっぱなしの作品も、晴天続きで湿度の低い日を選び、温度・湿度変化に気を付けながら出し入れをして周囲の空気を入れ替えてあげることで、カビを防ぐことにもなります。

また、長期間同じ作品を同じ場所に掛けていますと、掛けられている場所の壁面に、額の跡やヤケがついてしまいます。壁面を保護する為にも、掛け替えは重要です。

毎日同じ場所で同じ作品を御覧になっていると、ガラスやアクリルの曇り、ひいてはヒビやカビなどの変化があっても気づきにくいものです。目線を変えると、こうした変化にも気づくことができますし、作品をまた違って新鮮に楽しむことができます。展示空間やお部屋にとっても、家具や調度品を大いに動かさずに雰囲気を変えることができますので、お薦めです。

■修復という選択

以上のような環境の変化、元来の特性、時間の経過、保管の状態等々により、ヒビやカビ等が鑑賞上の妨げにまでなってしまうと、作品を楽しむことができないばかりか、作品の価値に影響を及ぼしてしまいます。

このように作品の状態が大きく変化してしまった場合、多くの場合、専門家によって修復をすることができます。昨今、修復の世界でも様々な研究が進み技術の進展がみられますので、適切な方法を採れば再び長く作品を楽しむことができるようになってきています。しかしながら、修復すると大きく価値が下がってしまうのではないか、という懸念が特に日本では必要以上に強いことが私共の実感としては多いような気がしております。が、あのモナリザが何度も全面修復がなされていながらその美しさと価値を保ち続けているように、正当な修復は作品本来の価値を損なうものではありません。むしろ、致命的な変化になる前に早い段階で気づくことで修復の度合いも少なく済むため、早期診断・早期手当を行うことが重要ですので、恐れずにご相談頂ければと思います。

油彩画の保管に関しては、このように、いくつかのポイントを押さえておけばそう神経質になることはありません。

何より、絵は楽しむためのものです。神経質になりすぎず、それぞれの美の世界を存分にお楽しみ頂ければと思います。

作品の保管や修復に関して、さらに詳しいアドバイスや専門家への取次も致しますのでお気軽にご相談頂ければ幸いです。

お読み頂き有難うございました。

(鈴木庸平)

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